苦茶油文化の復興
「私たちは原材料の生産地として朝陽地域に根を張り、専門的なサポートをして1+1が2より大きくなる成果を上げています」と張瑋珊さんは言う。放置されていた田畑で油茶の契約栽培を始め、作付面積が拡大して若者が故郷に戻ってきた。高齢化が進んでいた地域が活性化し、サステナブルな復興を実現したのである。
将来的にはさらに「苦茶油文化の復興」を進めていく。食用の苦茶油は煮物や炒め物、和え物にも使え、そのまま飲むこともできる。さらに祝い事の料理にもよく使われ、産後の栄養補給や長寿のお祝いなどの食文化が形成されている。
苦茶油文化には産地の文化も含まれる。「朝陽社区」ブランドのニンジンや米、コーヒー豆などもある。さらに地域の旅行マップを作成し、観光客が朝陽漁港やハイキングコースを歩いて半日ツアーを楽しめるようにしている。
また茶籽堂はDBS銀行と協力し、古い民家を借りて改造し、シェアオフィス「Naniwa House 1」を開設した。ここではノマドワーカーの二拠点生活を推進するとともに、1泊2日のワークショップや見学旅行にも提供しており、ドイツや日本の企業も視察に訪れている。
張瑋珊さんによると、今年(2025年)は「朝陽地域全体を一つの農園として」ミニツアーを打ち出す予定だという。契約農家の畑で茶の実の素晴らしさに触れてもらい、大地の生態系を体験してもらうツアーである。
これは「苦茶油復興計画」の予想外の成果だ。多くの観光客が訪れるようになり、地域に若者が戻ってくるようになったのである。大地からスタートして大地に返る。里海(さとうみ)の理想の暮らしと言えるだろう。
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茶籽堂は「茶の実のすべてを活用する」ことでサステナビリティを実現している。
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苦茶油復興計画では油茶の木を栽培するだけでなく、大地に親しむという素晴らしい価値も広めている。(茶籽堂提供)
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茶籽堂は契約農家に協力し、デジタルモニタリング設備と精密灌漑システムを導入した。
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南澳にある茶籽堂は、地域活動センターの役割を果たそうとしている。
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油茶の実は殻を取って搾ると食用油(苦茶油、茶の実オイル)になる。(茶籽堂提供)
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蘇澳鎮油茶生産販売班第一班は茶籽堂から乗用型除草機の寄贈を受けた。高齢者は「楽ちんだ」と喜び、若い世代も農業体験に帰省して除草の列に加わる。(茶籽堂提供)