産業の歴史と言うと、三つの側面から理解できる。一つは業種の歴史であり、たとえば食品業や石油化学業の歴史である。もう一つは企業の歴史で、たとえば台湾松下電器や統一企業の歴史である。三番目が経営者の人生の歴史で、台湾松下を創設した洪家の創業の歴史などを言う。その中でも、三番目の歴史が産業史を読み解くときに一番興味深い角度となるだろう。ビジネスの世界は変化が速く、ある時期に成功した企業といっても、その次の段階では時局や環境の変化から没落していく。そこで読み解くときに実業家の人生に重点をおけば、その事業経営の成功に関らず、実業家が堅持した信念やその尊敬すべき点が明確になるのである。台湾では最近実業家の伝記や回顧録の出版が数多いが、ここからも台湾産業史を読み解く多くの資料が手に入る。

加工輸出区は台湾が世界に誇る発明で、盛んな貿易によって台湾各地に衛星工場も設置された。加工輸出区の退社時の情景はこの時代の象徴でもある。

産業発展の先駆け、オランダ人

台湾は開発が遅れたとは言え、その最初から商業指向が強かった。17世紀の台湾には、梅花鹿が豊富に生息していた。梅花鹿は先住民族の主要な狩猟の対象であり、台湾原産の犬を用いて弓矢で射止めるのが主な狩猟の方法であった。その当時、中国大陸からの移民はすでに塩や鉄、生活用品などで先住民族と鹿皮や鹿の肉と交換し、オランダ人の先進的な海上貿易網を通じて、鹿皮が台湾史における国際貿易商品となっていった。日本人も海を渡り、台湾の先住民と鹿皮交易を開始していたのである。

しかし大量に捕獲されたために、野生の梅花鹿は清末になると次第に数を減らし、1970年代にはほとんど絶滅しかかっていた。数年前に政府は墾丁国立公園において繁殖させた梅花鹿を野性に帰す計画を実施したが、今日中部地域で飼育されている鹿は角を取るためで、皮が目当てではないという。

この時期は台湾農業の発展段階でもあり、主要な商品作物は米とサトウキビであった。オランダ人は東南アジアから水牛と基礎的な耕作技術を導入したが、本格的な水稲栽培技術は鄭芝龍が中国の福建省南部から連れてきた移民が持ちこんだものである。

蔗糖はオランダ植民地持代の鹿皮に継ぐ重要な貿易品で、サトウキビ栽培を奨励したために台湾中南部の広大な平原にサトウキビ畑が広がっていった。原始的な圧搾設備は牛が石を動かす挽き臼が主であった。生産動力は基本的に原始的段階にとどまっていたものの（1900年になってやっと新式の製糖工場ができる）、蔗糖は日本、ヨーロッパに輸出され、米は中国大陸と取引された。

清代の末に貿易港が開港され、茶、蔗糖、樟脳が世界中に輸出されるようになり、1960年代まで蔗糖は主要な輸出品だった。写真は南部の平野でのサトウキビ収穫の模様だ。

台湾の三つの宝

清朝が台湾を統治してからも、産業は初歩的な農林漁業に留まり、中国大陸からの移民も日用品や鍋、炉、鉄器などの工具を自分で持ってこなければならなかった。

台湾の産業に大きな変化が起きたのは、清末の1860年代であった。天津条約が締結されて、鹿港、安平、淡水などの貿易港が開港され、外国商船が直接入ってきたのである。外国商人は台湾の茶、樟脳、砂糖の三大農産物が輸出に向くことに気づき、これを台湾の三つの宝と称した。この三大農産物は外国商人の力もあって大きく発展し、日本時代においても輸出の主力となった。

台湾の三つの宝のうち砂糖と樟脳は清朝初期の農業の発展を受け継いだもので、台湾の砂糖は糖度が高いために輸出競争力があった。また台湾には樟脳を産するクスノキが多く、日本と並ぶ世界的な樟脳産地である。清の時代から輸出を開始したが初期は輸出量は多くなく、主に薬品および製薬原料であった。それが1880年になって樟脳がセルロイドの原料になることが発見され、大量の輸出がはじまった。セルロイドは初期の合成樹脂で、櫛やボタンなどの日用品が作られたのである。日本時代となると、日本人は阿片と樟脳を専売品に指定し、貿易収入の主力に育っていった。1920年を過ぎると、クスノキの数が激減して樟脳生産は下降の一途をたどる。

国民党政府が台湾に移ってきた当初は農業が台湾経済の大きな部分を支えていた。当時はバナナが日本に高値で輸出され、経済に貢献していた。写真はバナナを箱詰めしている様子だ。

お茶の西遊記

台湾の三つの宝のうち茶は比較的発展が遅かったのだが、輝かしい産業の歴史を作り上げた。

初期の茶は南投県埔里の山地に自生する野生の茶で、また先住民が薬用に栽培したものもあった。しかし、その品質からあまり飲用には適さなかったと言う。その後、清代になって福建省安渓からの移民が、台湾北部の景美渓の川筋から石碇、深坑一帯の環境が故郷の福建に似ていることに気づき、故郷で栽培していたウーロン茶を持ちこんで飲用の茶を大量に栽培しはじめたのである。イギリスのお茶商人が積極的に奨励したこともあり、フォルモサ茶は欧米に直接販売され、外国商人が次々に台北に拠点を設立するようになった。ここから、当時は荒れた土地であった台湾北部が繁栄の道を歩みだした。その後、ウーロン茶の栽培は次第に台湾中部に広がる。

この時期のウーロン茶は現代人がよく知っている凍頂ウーロン茶とは異なり、紅茶に近く結球する深く焙煎するタイプであった。その後、輸出が停滞する時期があって、お茶商人は原料の茶葉を福州に輸出し、そこでジャスミンなどを加えて加工して売出した。福建省安渓のウーロン茶より緑茶に近い種類のお茶だったが、これが人気となり外国で台湾包種茶と呼ばれ、東南アジア一帯の華僑に好まれたのである。

現在、私たちがよく知っているウーロン茶の正確な名称は、半球型タイプの包種茶ということになる。

ウーロンや包種に加えて、紅茶も清末から日本時代にかけての重要な輸出商品であった。日本の国内では緑茶を生産するので、それとの競争を避け、またヨーロッパ市場の需要に応じるために、台湾での紅茶栽培が奨励されたのである。日本人はアッサム茶を導入し、1920年から栽培を開始した。1930年になると、日月潭周辺で葉の大きな紅茶の木が植付けられ、三井合名会社（当時）はこれを日東紅茶と名づけ、ヨーロッパ市場でリプトンと競い合い、1950年代にいたるまで繁栄を続けた。最盛期の輸出量は年間500万キロに達し、輸入のリプトン紅茶しか飲まない現代の人には想像もつかない歴史を築いていたのである。

台湾の緑茶は、1949年に福州のお茶職人が台湾にやってきてから生産が始り、新竹以北で生産量が増加し、年間数百万キロを輸出した。その黄金時代は約10数年続いたが、コスト高と味の好みの変化から世界的な競争に勝てず、1950年代になると没落していく。

台湾のお茶の二度目の最盛期は1980年代に訪れた。台湾が経済発展を開始し、国内の消費能力が高まってきたそのときに、凍頂ウーロン茶が発売されて販売量が急速に伸びていったためだが、これは主に国内向けであった。台湾のお茶の産地は初期の大産地が化学肥料を使用し過ぎたために地力を失って、すでによいお茶を生産できなくなってしまい、現在では嘉義一帯に移ってしまった。今も名産地として知られるのは鹿谷だが、実は台湾各地から質のよいお茶の葉を買付け、鹿谷で製品に仕上げているだけである。鹿谷が売っているのは、お茶の葉ではなく優れた製茶技術なのである。

1970年代の第一次オイルショックの頃、政府は重化学工業発展の重要性を意識し始め、中国スチール、中国石油などの企業の活動が活発になった。これによって70年代の製造業が支えられた。

工業は台湾、農業は南洋

台湾の近代的な工業発展は、日本時代の後期に始まる。

日本時代の初期には「工業は日本、農業は台湾」政策の下に、日本で生産された工業製品が台湾に輸出され、台湾の農産物が日本に輸出された。ところが1931年に転機が訪れる。台湾の農産物の発展が飽和状態に達し、また満州事変が起ったため、日本の南方進出政策は台湾を踏み台とする「工業は台湾、農業は南洋」へと変った。積極的に台湾の工業を発展させ、東南アジアでの戦争の時期に物資を自給自足できるように計画されたのである。

台湾における日本の工業建設は、三つの面から見ることができる。まず基礎となる工業建設で、1904年から建設がはじまった高雄の新しい都市建設は、ここを南方進出基地とするものであった。電力においては日月潭発電所を建設、工業発展に最も重要なエネルギー問題を解決した。さらに水利方面では桃園と嘉南に大用水路を建設、ことに嘉南用水路は珊瑚潭と濁水渓を水源として灌漑面積は15万甲に及び、清代に開鑿された用水路の何本分かに当る。

インフラ建設で影響のもっとも大きかった交通の面は、日本人の建設の中で見すごされている部分でもあるが、鉄道建設と軽便鉄道の二つが含まれる。日本時代以前の台湾では、南北交通は主に海運に頼り、陸上交通は牛車と徒歩しかなかった。それが日本時代に軽便鉄道が大規模に敷設され、交通は大きく改善された。軽便鉄道は主に二種の規格があり、１尺7寸の軌道はトロッコ鉄道、2尺の軌道は台湾鉄道の狭軌鉄道用であった。軽便鉄道は平地ばかりではなく山地にも広く敷設され、日本時代初期の最も重要な交通手段となった。

1930年代に自動車が普及し、道路建設が進むにつれて、軽便鉄道は撤去されていく。道路建設はトロッコ鉄道の路線を拡張して行われたために、トロッコ輸送業者は道路輸送に商売替えしていき、これが台湾の運輸業者の中で日本時代後期に大資本を擁する企業となっていく。

インフラ建設に加えて、日本人は大規模な製造業の工場を建設していくが、これが後の台湾電力、台湾製糖、中国石油などの前身となる。国民党政府が台湾に移ってくると、日本人が確立したインフラ建設に国営事業を発展させ、多年にわたる政府の財政基盤となった。

質の高い労働力も、日本時代が台湾の産業発展に残した重要な貢献の一つである。日本時代後期、一般の識字率は8割近くに達し、国民党政府初期の台湾はすでに十分な労働力予備軍を抱えていて、戦後の経済発展に大きく役立った。

煙突のない産業、観光産業が台湾経済の次の重点とされている。観光と地方の文化産業が結びつけば大きな成長が期待できる。（林格立撮影）

台湾の五大ファミリー

台湾の政財界に重きをなした五大ファミリーも、日本時代に形成された。北から南に言うと、まず鉱業を基盤とした基隆の顔家が挙げられる。顔雲年は親戚知人から借金して、日本人から小さな金鉱の鉱区の採掘権を借受け、すでに廃鉱と見なされた地域から再びゴールドラッシュの繁栄を築き上げる。また目端の利く顔雲年は、基隆港の開発が石炭市場の発展をもたらすと考え、日本人と協力して台湾北部の炭鉱開発に乗りだし、最盛期には台湾の石炭産出量の3分の2を押えて、半世紀にわたって鉱業に君臨した。

二番目が板橋の林家である。林本源一族の開祖の林平侯は米屋の丁稚から始め、その後自立して富をなし、林本源の屋号で知られた。この名は中国の古い格言の「飲水本思源」から来ている。その後、地主として地代で財産を築き、台湾北部でも最大の富豪となった。林家はその後五家に分れ、一部は大陸に戻った。台湾史の碩学であった林衡道氏は、この福建省で育った子孫である。華南銀行を創設した林熊徴も大陸に戻った子孫の一人である。当時、日本は南方に勢力を扶植するために、林熊徴に銀行への投資を誘いかけたもので、華南銀行は日本の南方開拓の支えとなった。後世に林熊徴がもっとも称えられる事業は奨学金の設立で、呉三連や杜聡明などの優秀な青年の日本留学を助けた。

三番目が霧峰の林家で、林家は清初に地主として財を成した典型的な移民の開墾地主である。地代で富を築き上げて、台湾中部の富豪となった。その当時の開墾地主の多くは私兵を擁していたために、林家は勇猛な一族としても知られている。中仏戦争において林朝棟が軍功を立てて封じられ、劉銘伝が台湾巡撫に赴任したときには先住民の平定と山地の開墾事業に派遣され、その功績から樟脳の専売権を受けてさらに事業を発展させた。霧峰の林家の子孫林献堂は抗日運動と社会文化の啓蒙に力をつくし、日本地代に重要な社会的地位を占めていた。

四番目が鹿港の辜家である。創業の祖辜顕栄は典型的な商売人で、1895年に日本軍が台北に入ると、日本政府に策を献じて治安の維持に協力し、樟脳、食塩、阿片などの専売権を獲得する。その後、日本政府と良好な関係を維持しながら名誉と財産を築き上げていった。また辜家は時代を見る目があり、恐れずに投資して多角経営に乗りだし、五大ファミリーの中でも現代の台湾の実業界に大きな影響力を維持している。現在、台湾の大企業の一つ和信グループの辜振甫氏、辜濂松氏はこの辜家の子孫である。

五番目が高雄の陳家だが、事業をはじめた陳中和は元は貧しい家の出身で、少年時代は台湾南部の製糖業の大物陳福謙の店の店員であった。商売の才能を認められて、ここで次第に重用される。陳福謙が亡くなると、陳中和は自立して頭角を現し、日本時代には日本政府に力をつくして様々な特権を受け、数年の間に台湾南部の新しい富豪にのし上った。日露戦争の期間、陳中和は砂糖価格の暴落で巨額の負債を抱えるが、商売度胸でこの危機を乗り越え、製糖業のトップにすわる。高雄市議会の元議長陳田錨氏は、陳家の二代目である。

工業の発展に電力は欠かせない。写真は日本時代に建設され、台湾工業の発展に大きな役割を果たした日月潭発電所の全景だ。

発展の足取り

戦後の台湾の発展は、大きく言って五つの時期に分けられる。

一、アメリカの援助時代（1945〜1952）。日本が残した多くの工業建設は、戦争後期の爆撃で破壊されてしまい、この時代は修復と再建が主であった。1949年に激しいインフレーションが台湾を襲い、アメリカの援助を受けて軽工業を発展させて行かなければならなかった。この当時は、台湾の経済発展に大きく貢献した紡織業がようやく形を成してきた頃で、援助の米ドルで綿花を輸入し、繊維製品にして国内需要に応えたのである。

二、輸入代替期（1953〜1961）。台湾では民生品を主とした軽工業が発展し、これにより内需市場の自給自足を実現し、外貨統制もあって輸入製品に取って代わるようになった。1950年代からは中国大陸に基盤を持っていた上海財閥や山東商人が国民党政府と共に台湾に移ってきて、民生品産業の基礎を確立するようになった。その当時の上海財閥で今も重きをなしているのが遠東グループと裕隆グループである。山東財閥では潤泰、大成長城、神通グループなどが挙げられる。台湾の企業グループもこの頃から台頭し、台南グループ、台湾プラスチック、新光グループなどが主だった企業集団といえよう。

三、輸出拡大期（1962〜1973）。この時期には輸出指向の加工輸出区が設置され、有利な投資環境を提供して華僑や外国人の投資を積極的に誘致した。技術、経営ノウハウを導入しながら、大量生産できる廉価で品質のいい生活用品の輸出で外貨を稼いだのである。加工輸出区は経済官僚の李国鼎氏の発案になるが、これがグローバルな生産基地としての台湾開発の流れに乗り、しかも台湾の質の高い労働力、勤勉な民族性などの好条件もあって、貿易が急速に発展した。それと共に各地の衛星工場も勃興し、台湾の経済はようやくテークオフするのである。

四、オイル・ショック時期（1974〜1984）。1974年に第１次オイル・ショックが勃発、政府は重化学工業の必要性を強く意識するようになる。そこで中国スチール、中国石油、中国造船、ナフサ精製工場などの建設が相次ぎ、また1976年からは十大建設プロジェクトが始まって、台湾のさらなる経済発展の基礎が確立された。

五、経済の自由化時期（1985年以降）。1980年代以降、台湾はハイテク産業の育成に力を入れ、その後主流となるコンピュータ産業とオプトエレクトロニクス産業が発展して行くのである。

1980年代以降はハイテク産業が発展し始め、今日のITとオプトエレクトロニクス産業の基礎を築いた。

中小企業は負け組か

戦後、台湾経済の発展過程を通じて中小企業は常に重要な地位を占めてきた。輸出指向の経済政策において、中小企業は機動性と製造工程の改善能力に秀で、1986年以前には輸出総額の７割を稼ぎ出し、台湾が国際的に注目された経済の奇跡を作り出したのである。

しかし、その優勢も世界情勢の変化、ことに中国大陸およびその他の途上国の経済発展により、競争力を落として行く。1990年代初めに中小企業の輸出総額は50％を切り、2000年になると20％まで低下してしまい、業績は大幅に減少する。その一方、この20年間中小企業の数は余り変化していない。多くの企業が倒産し、またそれに続く会社も生まれる中、失業人口が増えていった。台湾の失業率は３年前の２％から現在の５％に上昇したが、中小企業の浮き沈みがその鍵を握っている。

グローバル化が進展する中で、企業数の98％を占める中小企業の明日はあるのだろうか。台湾企業に対して中国大陸が発揮している磁石のような吸収力に逆らえないのであれば、台湾経済はこれに対応しつつ発展の方向性を探るしかない。政府はアジア太平洋オペレーションセンター政策を打ち出したが、台湾がそのための条件を備えていても、政治が経済に影響し、オペレーションセンターや研究開発センターが掛け声ばかりになっていくなか、有識者は将来への憂慮を深めている。

地方産業の春

製造業の発展が行き詰まるのに対応し、オペレーションセンターや研究開発センターに加えて、台湾は煙突のない工業の方向を模索している。内需主導の在来型産業を育成し、観光産業と結びつけるというのが新しい可能性で、ヨーロッパの小国やニュージーランドなどに成功の前例を見出せる。最近では政府はこの方向性に関心を抱き、経済部は地方の特色ある産業に力を入れているし、文化建設委員会では地域の包括的な育成という視点から、文化産業を育て、地方の文化や自然、そして地域への一体感を結びつけて、新しい産業の創設を目指し始めた。

台湾大地震の被災地復興計画の中でも、成功するケースが見られるようになり、それが地方色豊かな産業育成の可能性を開いている。たとえば、鹿谷の地域活動家は50万台湾ドルの資本を投じ、特産であるお茶を高級感あるブランドにデザインし直し、さらにお茶の収益が独居老人向けの食堂経営に使われている心温まるストーリーを前面に打ち出した。地震被災地の中寮郷では、10数人のお母さんたちが草木染めの工房を組織し、環境に優しく文化的特色を持つ製品を生み出している。東勢地域の女性たちは、組合を作って自家製の客家風食品を売り出した。どれも規模は大きくないが、これが観光産業と結びつき、外から観光客を呼び込めるようになれば、発展の潜在力を秘めている。

300年余り、４世紀を迎える台湾の産業の発展の歴史は、これからどのように姿を変えていくのだろうか。現代の台湾人の知恵が試されている。