2014年のWHAのテーマは「気候と健康の関連」だった。5月16日、衛生福利部の邱文達・部長(厚生相に相当)は各部門の25人から成る代表団を率いてスイス・ジュネーブに赴いた。衛生福利部国際協力組の商東福主任によると、今年我が国からの参加人数は過去最多となったが、これは参加を拡大するためだ。
気候と人間の健康は密接に関わっている。気候変動によって感染症の伝播状況は変り、また寒ければ心血管疾患が増え、暑ければデング熱や皮膚ガンなどが増える。洪水や干ばつが頻発すれば食糧の安全と衛生にも影響する。
邱文達・衛生福利部長は、今年のテーマに関する演説を行ない、代表団のメンバーもそれぞれ「非感染性疾病の予防とコントロール」「健康的生活の促進」「インフルエンザ・パンデミックへの準備」「伝統医薬」「高齢化」など31のテーマの技術会合に出席して報告した。
また、WHAの開催期間中は積極的に他国の保健衛生部門の代表と二国間および多国間の交流を行なった。二国間協議の目標数は50カ国だった。
医療衛生分野で世界とつながる
我が国が常態的にWHO年次総会に参加できるようになったことは、活路外交(フレキシブル外交)の有効性を証明している。
1972年にWHO脱退を余儀なくされて以来、我が国の衛生部門は世界の衛生政策の話し合いに参加できなくなっただけでなく、連携ルートも断たれてしまった。そのため、国民の健康促進においては関連する情報や技術が得られず、疾病の監視や予防においても、台湾はWHOの世界的な疾病管理体制から除外されてきたのである。
国民の健康と福祉を守り、国際社会における義務を果たすために、我が国は1997年から衛生実体(health entity)という概念でWHAにオブザーバー参加することを求めてきた。
それから12年の努力を経て、2009年に「チャイニーズ・タイペイ」の名目でWHAへのオブザーバー参加が実現した。他にオブザーバー参加しているのは、バチカン、パレスチナ、赤十字国際委員会、マルタ騎士団、国際赤十字新月社連盟などで、台湾は7番目のオブザーバーとなった。
これ以来、我が国とWHO事務局との連携は深まり、2009年に「国際保健規則(IHR)」体系への参画を認められてからは、感染症などの公衆衛生緊急事態に関してWHOとの連絡回数は300回以上におよび、また関連する技術会合や訓練計画へも招かれている。
今回、台湾代表団はWHAへの参加規模を拡大し、我が国の医療衛生面での実力を示すとともに、この分野における国際的な人脈の構築に努力した。感染症に国境がなくなった今日、その対策は世界と歩みをともにしなければならない。