海も山も堪能できる定番ルート
広いと言えば広く、狭いと言えば狭い台湾だが、どのようなサイクリングコースを提案するのだろう。
毎年台湾で開催されるロードバイクのヒルクライムレース、「台湾自転車登山王挑戦(台湾KOMチャレンジ)」で知られるコースは、世界でも広く知られている。全長は105キロに過ぎないが、平地の花蓮七星潭からスタートし、公道が到達する最高地点である標高3275メートルの武嶺まで駆け上がる。途中では太魯閣峡谷の絶壁の間を走り、碧緑神木や大禹嶺などの景勝地を通る。景観は次々と変化し、激しい勾配を上っていくというチャレンジ性の高いコースである。フランスの自転車雑誌『Le Cycle』はこのコースを「世界で最も困難な10コース」、そして「最も美しい50コース」の一つに挙げている。
「日頃から自転車に親しんでいる人なら、KOMの名を聞いたことがあるでしょう」と鄭世賢さんは言う。「動感」が提供する日程は、日数の短いものであれば、KOMのコースを中心に1泊2日で組み、中間地点の天祥に宿泊する。終点は日月潭で、そこまでに台湾定番の景勝地を組み込み、老若男女が楽しめる日月潭の湖一周のサイクリングコースを入れてリラックスしてもらう。最後は車で台中か台北まで戻れば、夜は夜市観光もでき、楽しみ満載の旅となる。
10日以上滞在する欧米の観光客の場合は、長い時間がかけられるため、時計回りに台湾を一周するコースを提案する。まず台北の河浜サイクリングコースでウォーミングアップし、台北市内の大稲埕の古い町並みを観賞する。続いて自転車で東北角か水金九(水濂洞、金瓜石、九份)へ行き、宜蘭から台中の武陵農場へと向かい、国民賓館か富野リゾートホテルに宿泊する。翌日は、武嶺か大禹嶺から太魯閣峡谷を経由して花東縦谷へ向かう。ここでの注目点は原住民文化の体験である。最後は屏東の県道199号線を海を見ながら走る。西海岸に出たら交通機関を利用しながら台北へ戻る。鄭世賢さんによると、このルートは山と海のバランスが良いのが特徴で、台湾の重要な景観をすべて巡ることができる。
鄭世賢さんは、ツアーの企画を「脚本」という言葉で表現する。脚本家や演出家のように、台湾という舞台での旅を演出するのである。
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出発前に参加者にその日のルートを説明するベテランのサイクリングリーダー鄭世賢さん。