人情味あるラジオ放送
日本の加藤夫妻は今年(2025年)の旧正月に台湾を訪れた。加藤さんにとって台湾は12回目で、来訪するたびに中央広播電台を訪れる。
50年近く台湾国際放送を聴いてきた加藤さんは2016年、番組を通して、新北市金山でシベリアへ渡る途中のツルの迷鳥が保護されたと聞き、わざわざ台湾へ来て保護の列に加わった。加藤さんはタンチョウヅルの迷鳥を2年にわたって世話した経験があったのである。
北海道在住の加藤さんは、若い頃に船で離島に働きに行った時、ネットにつながらないため短波放送を聴くようになり、それ以来、台湾国際放送日本語番組のリスナーになった。
加藤さんのように、短波を聞いていたことから台湾とつながりを持つようになったリスナーの物語は、すべて『短波時代』に収録されている。
かつて中央広播電台の台長(局長に相当)を務め、2022年に董事長に就任した頼秀和さんは、世界中のリスナーとこれほど親しく交流している放送局は、国際放送の業界でも珍しいと語る。台湾は中小規模の国で、予算は大国の比ではないが、それでも活力あるラジオ局を運営している。世界147ヶ国にリスナーがいるというのは台湾特有のソフトパワーを示している。
頼秀和さんは、英国放送協会(BBC)が以前、短波放送の聴取者数を推算した公式を使って計算する。その公式によると、リスナーから手紙が一通来たら、その背後に500人の聴取者がいるというものだ。だからこそ、台湾国際放送のパーソナリティは遠い国から送られてきた手紙の一通一通を大切にしている。

中央広播電台の頼秀和董事長によると、RTIのパーソナリティはリスナーから届く手紙を非常に大切にし、人との交流を重視している。これは国際放送業界では珍しいことで、台湾特有の「人情」と言える。(林格立撮影)