台南の食を極める
台南を旅するなら、ご当地グルメは外せない。撮影クルーの入念な下調べと手配のお陰で、『時をかける愛』には多くのご当地グルメが登場する。李子維は安平妙寿宮の前で白糖粿(ベーダングイ)を買う。カメラが追うのは、もち米を練ったものをらせん状に揚げ、砂糖と落花生の粉をまぶす様子だ。
白糖粿は、外はカリッとしていて中は柔らかく、餅に似た食感だ。庶民の生活における食べ物の役割を描くのが得意な謝仕淵は、「白糖粿は、人々が食べ物に嬉々として隷従してしまう姿を象徴しています。」と言う。白糖粿は、揚げたてが最も美味しいので、人々は屋台の側に列を作り、揚げたてをその場で味わう。
『時をかける愛』で多くのファンを魅了した食べ物が、鍋焼意麺(揚げ麺の鍋焼き)である。
台南出身で食に関する著作のあるライターの米果(MIMIKO)によれば、鍋焼意麺の定番は、小さな鉄釜で煮た後、4本の木片を組み合わせた台に載せたもので、沸騰した状態で運ばれてくる。店では生搾り果実ジュースとかき氷も同時に売られている。これは授業が終わった後にまずかき氷を食べ、同時に空腹も満たしたいという学生のニーズから来たものだった。こうして鍋焼意麺の店のスタイルが作り上げられた。
「台南に来て初めて、鍋焼意麺と和解しました」と謝仕淵は笑う。台北で食べた鍋焼意麺は、スープの素で味付けされ、火鍋用の具を突っ込んだだけの麺で、良いイメージはなかった。しかし、「台南のは美味いんです。何と言ってもスープが違います。」と言う。台南では、スープの煮込みに手間をかけ、しっかりとした具材を使い、一食一食が丁寧に作られている。『時をかける愛』のロケ地となった「閒情茗品屋」の女将によれば、だし汁は、新鮮な食材とかつおぶしを使って朝5時には煮出す。麺に載せられるサワラは、その日獲れたてのものを切って揚げた自家製だ。「私の両親から伝えられたレシピを今でも守り通しています」と誇らしげに語ってくれた。
もちろん、『時をかける愛』のロケ地はこれだけではなく、左鎮区二寮の日の出、麻豆区の龍泉氷店、料理人の炒め技が試される鰻麺などがドラマを通じて世に知れ渡り、聖地巡礼者を集めた。謝仕淵が言うように、「台南は、誰もが年に3回は訪ねたくなるところ」であり、人々が足を運ぶに連れて、「一息つくことのできる」第二の故郷と感じさせてくれる場所なのだ。
いざゆかん、『時をかける愛』の聖地巡礼に。

『時をかける愛』に登場する莫おばあちゃんのかき氷屋は麻豆の「龍泉氷店」である。(林旻萱撮影)

龍泉氷店は地元の人々に愛されており、子供の時から食べている客も多い。(林旻萱撮影)

この400年の間にさまざまなエスニシティの物語が安平古堡で繰り広げられた。

安平古堡のレンガ壁を観察することで、歴史を読み解く事ができる。赤レンガの厚さの違いから、それが異なった時代に建てられた事が分かる。

『時をかける愛』のロケ地は、台南観光に新たな視点を与えてくれた。写真は、主演男優二人が食事をする麺の店で、壁の壁画が非常に特徴的だ。

台南の路地裏はまるで生活博物館のようで、壁や植物、窓の飾り鉄格子の文様など、台南の魅力的な生活様式の宝庫だ。