ここに生まれ育った台湾人は、台湾に対して型にはまったイメージを持っているのかも知れない。しかし、海外から台湾に来て数十年暮らし、帰化した人々の目には台湾は違う姿で映っているようだ。
今月のカバーストーリ—では、外国出身で高度な専門技能や特別な貢献といった要因で台湾に帰化した人々をご紹介する。優れた放送番組や関係者に贈られる金鐘賞を受賞した呉鳳、34年にわたって台湾の僻地医療に貢献してきた柯彼得、世界的なピアニストの魏楽富、そして台湾の田園を描き続ける画家のイヴァン(伊凡・葉何羅夫)。彼らが語る台湾での物語と経験から、私たちはより深く台湾を知ることができるだろう。
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台湾の優れたデザイン力はさまざまな分野で発揮されている。ペーパースカルプチャー作家の洪新富は紙細工で数々の特許を取得している。台湾オリジナルの各種テーブルゲームを見ると、遊びながら政府の介護政策が理解できるゲームもあれば、イラストレーターと協力して台湾のフルーツや特産品を描いたカードゲームは、2018年に外交部によって台湾の特色あるギフトに採用されるなど、テーブルゲームは娯楽であるだけでなく、コレクションとしての価値も持っている。
台南の千畦種子博物館の知恵も注目に値する。館内には、ありとあらゆる不思議な種子が展示されていて、なぜこんな形なのかと疑問を抱く。「そうして考えていくと、実は種子が生命の意義を語りかけてくるのです」と種子館の梁崑将は言う。彼が語る種子の物語は、ファンタジックな冒険をイメージさせる。これは大自然の知恵であり、館長一家が全力で種子を保存する原動力でもある。
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医療に国境はない。台湾の医師たちによる大規模な無償診療とスクリーニングによって、太平洋のキリバスではリウマチ性心臓病の有病率が大幅に低下し、国連の健康と福祉を目指す持続可能な開発目標(SDGs)を実践している。インドネシアのジャカルタやスラバヤから台湾に来た主婦や教師、司法通訳、ボランティアなどを務める人々が結成したアンクルンの楽団「竹韻揚聲楽団」は、団員たちの故郷への思いを載せつつ文化交流において重要な役割を果たしている。
今月の「自転車で行く台湾」では、北海岸をご紹介する。取材班とともに台2号線を進んでいくと沿線の風景は変化に富み、沿道ではオオハマボウ、クワズイモ、ハマウド、ギシギシなどの植物や、火山活動が残した「風稜石」と呼ばれる特殊な岩石も見られる。現地の文化にも触れられ、今月の光華に豊かな色彩を添えている。