大学間の協力、相互学習
ミネルバ大学が、学生たちが体験する都市を選ぶ時にはいくつか条件がある。インフラが整っていること、ネット環境が整っていること、政治経済が発達していること、多様な社会であること、などだ。台北はこれらの条件を満たすだけでなく、華人世界の重要な都市であるため、ミネルバの最後の体験都市に選ばれた。
ミネルバ大学の創設者でCEOのベン‧ネルソン氏は学生たちに、台湾で考えてほしいことをこう伝えている。華人文化とは何か。台湾と中国大陸はどちらも華語を話すが、制度は異なり、それぞれがどのように世界に影響を及ぼしているか。また、台湾とアメリカはいずれも多様性で知られるが、その二つの社会において「多様性」はどのように異なるか、考えてほしいと。
ベン‧ネルソン氏は今年2月に台湾を訪れ、複数の大学を訪問した。そこで、台北には教育や商業に力を注ぐ多数のグループがあり、社会は非常に自由で開放的であることに気づいたと言う。また、台湾で教育改革に力を注ぐ複数の学校が、ミネルバ大学との提携を申し出た。
今回の提携先である台湾大学は、当初は学生たちのビザ取得に協力するだけということだったが、周家蓓‧副学長が事務手続きだけではもったいないと考え、ミネルバの台湾代表と交渉して台湾大学国際事務処が学習計画に協力し、台湾文化の理解に協力することとなった。「今回の提携は得難いものでした。ガイダンスからワークショップまで非常に充実していて、学生にもよい経験になったと思います」と周副学長は言う。
陳怡伃助教は、今回のワークショップを通してミネルバの学生たちはコミュニティや現地の人々と深い交流ができ、自らの人生を考えるきっかけになったと考えている。タチアナ‧ソスキナさんは、多くの大都市では人と人との関係が疎遠になっている中、台北では人々は非常にフレンドリーで喜んで人助けしていると感じだ。
台湾大学と国際機関との提携推進に力を注いできた周副学長は、今後もミネルバ大学と協力し、その機会にミネルバ大学が強調する思考や教育方式を学びたいと考えている。またワークショップに参加する台湾の学生も、彼らとともに学び、異なる文化やバックグラウンドの学生と交流し、彼らが授業でどんな質問をし、どんな反応をするのか観察して多様な文化を理解してほしいと考えている。周副学長は「大学の責任は、学生が一生使える能力と思考を培うこと」というベン‧ネルソンCEOの理念に賛同している。
ロンドンもミネルバ大学の学生が体験する都市の一つだ。(林格立撮影)
ミネルバ大学の体験都市の一つ、サンフランシスコ。写真はゴールデン・ゲート・ブリッジ。
ミネルバ大学の学生たちは、台湾の蔡英文総統にオンライン卒業式の祝辞を依頼した。(YouTubeより)
ミネルバ大学の学生たちにとって、2020年の我が国の総統選挙で有権者が熱心に参画する姿は強く印象に残った。
タチアナ・ソスキナさんは台湾の食べ物は好きだが、最初は大皿から皆でとる食べ方に慣れなかった。
エリック・リンさんは、キャンパスがないことで却って建築物に制限されることはなく、都市全体が学習の場になると考えている。
リバティ・ピムさんは「おいしい介護と町づくり」のワークショップで、料理が愛の言語であることを知り、母親の手料理を思い出したという。