2003年にSARSが流行した時、番紅花は母親になったばかりで仕事もあり、毎日子供を幼稚園に送りつつ大きな不安とストレスを感じていた。今回の新型コロナウイルスでは、抵抗力の弱い高齢の家族が感染してしまうことが心配だと言う。「ですが、台湾はまだポジティブで楽観的です。みな慎重に行動してはいますが、悲観的な暗いムードではありません」と番紅花は言う。
コロナ禍でも、台湾人は通常とあまり変わらない生活を送っている。番紅花もいつもと変わらず読書と執筆、マーケット巡り、そしてマーケットガイドの仕事などをしている。
政府は人と人との接触を減らすよう呼び掛けているため、友人と集まったり会食したりする機会も大幅に減り、自宅で食事をする人が増えている。自炊するかデリバリーを頼むなどである。市場の人も、自炊する人が増えて行列ができることもあると言い、番紅花はうれしく思った。「自炊する人が増えれば、台湾の農漁業や畜産業の助けになりますから、これは良いことです」と言う。
だが自炊は決して楽ではない。食材の購入から準備、調理、片付け、食器洗いまでが自炊のプロセスであり、3時間はかかる。それでも自炊しようと考える人が増えたのなら、番紅花は自分の得意分野を活かし、地元の小規模農家が生産した食材を使って調理済みパックを作ろうかと考えている。「こういう方法で自炊を奨励でき、自炊も楽になるからです」
「新型コロナウイルスに対しては慎重に行動しますが、楽観的な気持ちを保つようにしています」と言う。「みんなが不安に駆られて家にこもり、消費を控えてしまったら、私たちは一緒に失業してしまいます。ですから私は自分の暮らしが経済活動とつながるように努力し、すべての商店や企業のダメージを最低限に抑えたいと思っています。そうしてこそ乗り越えられると思うからです」
ウィズコロナの時代、番紅花はどうすればすべての業種がともに生きていけるかを考えている。「すでにここまで生き延びてきたのですから、これからは、どのように一緒に日常を維持していくかが重要だと思います」と言う。