2020年のコロナ禍を振り返ると人々の日常生活は大きく変わったが、タレントでミュージシャン、芸術家でスピリチュアルメンターという多くの顔を持つ頼佩霞にとっては忙しい一年だった。博士号を取得し、著書『我想跟你好好説話(あなたとじっくり話がしたい)』を出し、YouTubeのチャンネルを開き、「好好説話工作室」と「好好説話学会」を設立し、ハーバード大学ケネディスクールのリーダーシップ‧コースも修了した。「もともと毎年ひとつおもしろいことをしようと思っていたのですが、今年はずいぶんたくさんのことをやりました」と振り返る。先頃は身近な人を亡くし、コロナ禍の無常もあるが、「焦りはなく、むしろ目覚めさせられたと感じます。この世に私たちは何を残せるのか、やるべきことは急いでやらなければなりません」
コロナ禍で、彼女は博士論文に取り組み、家族との時間を大切にした。しかし仕事に逃避していた人にとっては、家族との時間で別の課題が浮き彫りになった。
「コロナ禍はまさに一つのチャンスです。この機会に私たちは自分の内面を見つめなおし、己の人生を振り返り、最も大切なことを整理しなおすのです」と言う。
国際関係を専攻した彼女は「台湾人の米国観」というテーマで博士論文を書いたため、否が応でも台湾と米国のニュースに注目する必要があった。しかしウイルスの感染拡大とともに、世界中にフェイクニュースや、罵倒、叱責、攻撃といった悪意に満ちた情報が飛び交った。だからこそ「じっくり話をし、よい縁を結ばなければなりません。そうしてこそ私たちの夢を支えてくれる人が増え、また私たちも他の人の夢を支持できるのです。こうした善の循環があれば、いつか私たちがここを去る時にも、無念が残ることはないでしょう」と語った。